2025年10月2日放送のNHK朝ドラ『ばけばけ』第4話で松野家の食卓に登場し、視聴者に衝撃を与えた「しめこ汁」。
この汁物の正体はウサギ肉を使った料理でした。
劇中では愛らしいウサ右衛門が食材となり、SNS上で「トラウマ級」と話題に。
そもそも、ウサギ肉料理は日本の食文化に深く根ざした歴史ある食材であることはご存知でしょうか。
本記事では、『ばけばけ』に登場した【しめこ汁】の正体と名前の由来、日本におけるウサギ食文化の歴史、そして明治時代のウサギバブルについて詳しく解説します。
しめこ汁とは何か?ドラマでの衝撃的な登場
『ばけばけ』(第1週 第4回)で描かれた「しめこ汁」。
この汁物料理は、松野家がウサギ事業の失敗による借金で困窮した際に、飼っていたウサギ「ウサ右衛門」を食材として作られた汁物料理です。
劇中では、フミ(池脇千鶴)が「それは…うさぎでございます」と答え、勘右衛門(小日向文世)が「うさ右衛門…」と崩れ落ちる場面が印象的に描かれました。
この描写により、SNS上では「しめこ汁」「うさ右衛門」がトレンド入りし、多くの視聴者が「衝撃的」「トラウマ級」と反応したのです。
しかし、この料理名は劇中でのオリジナルであり、実際の郷土料理ではありません。
「しめこ汁」という名前の由来と意味
「しめこ汁」という名前について、劇中では司之介(岡部たかし)も「初耳じゃが」と述べており、フミが即興で名付けた可能性が高いとされています。
この命名には複数の解釈があります。
一つは「しめる(屠る、締める)」という行為から転じて、ウサギの肉を使った汁物を表現したという説です。
また、江戸時代の言葉遊び「占め子の兎(しめこのうさぎ)」との関連性も指摘されています。
この言葉は「しめた(うまくいった)」と「兎を絞める」をかけた洒落で、物事がうまく運んだ時に使う表現でした。
日本におけるウサギ食文化の長い歴史
現代日本ではペットとしてのイメージが強いウサギですが、実は日本には非常に古いウサギ食文化の歴史があります。
縄文時代からの食材
考古学的発見により、縄文時代の貝塚からウサギの骨が出土しており、狩猟・採集時代から貴重なタンパク源として食べられていたことが分かっています。
江戸時代の食文化
江戸時代には、徳川将軍家が正月にウサギ汁を食べる風習がありました。
また、ウサギを「一羽、二羽」と数える習慣は、仏教の肉食禁止の時代に、ウサギを鳥の仲間として扱って食べていたことに由来するという説があります。
明治時代のウサギバブルとその影響
『ばけばけ』で描かれた司之介のウサギ事業は、実際に明治時代に起こった「ウサギバブル」という史実に基づいています。
ウサギバブルの発生と経緯
明治5年(1872年)頃から、東京の富裕層を中心に外来種のカイウサギが珍重され、愛玩用としての飼育や品種改良のための交配が盛んになりました
政府による規制とバブル崩壊
ウサギへの投機熱が過熱しすぎたため、明治6年12月に東京府は対策を発表しました。
ウサギ1匹につき毎月1円(現在の約3~5万円相当)という「ウサギ税」を導入し、このとんでもない重税によってウサギバブルは崩壊しました。
明治時代のうさぎ事情については
以下の記事で詳しく書いています。

現代のウサギ料理と栄養価
現在でもウサギ肉は世界的には一般的な食材で、フランス、スペイン、イタリアなどヨーロッパ諸国では高級食材として扱われています。
日本でも秋田県の「中仙ジャンボうさぎ」料理が文化庁の「100年フード」に認定されており、伝統的な食文化として受け継がれています。
ウサギ肉は低脂肪・高タンパクでヘルシーな食材として知られ、味は鶏肉に似て淡白でありながら、かすかな野性味を楽しめると評価されています。
ドラマが描いた食文化への問題提起
『ばけばけ』の「しめこ汁」は単なるショック演出ではなく、明治時代の厳しい生活現実と「生きることと食べること」の関係性を描いた深いメッセージが込められています。
投機対象だったウサギが最後のタンパク源となる展開は、時代の変化と生活の困窮を象徴的に表現したものと解釈できるでしょう。
まとめ:『ばけばけ』に出てきた「しめこ汁」とは?
朝ドラ『ばけばけ』で話題となった「しめこ汁」は、ウサギ肉を使った汁物料理として描かれ、多くの視聴者に衝撃を与えました。
この料理名は劇中のオリジナルですが、日本におけるウサギ食文化は縄文時代から続く長い歴史があります。
現代ではペットとして愛されるウサギですが、世界的には栄養価の高い食材として認識されており、地域によっては伝統料理として継承されているのです。
ドラマの描写は、時代背景を踏まえた上で食文化と生活の現実を問いかける意味深いメッセージを含んでいると言えるでしょう。
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