2026年1月30日放送のNHK連続テレビ小説『ばけばけ』第85回で、衝撃的な展開が視聴者を襲いました。
庄田多吉(濱正悟)からの真摯なプロポーズを、野津サワ(円井わん)が断るという予想外の結末です。
「好きなのになぜ?」「もったいない!」という声がSNS上で溢れる中、サワの選択には深い理由が隠されていました。
本記事では、第17週「ナント、イウカ。」のクライマックスとなったこのシーンを、ドラマの流れ、登場人物の心理、時代背景、制作者の意図まで徹底的に考察します。
サワがなぜ庄田のプロポーズを断ったのか、その複雑な心情と今後の展開について、最新情報をもとに深掘りしていきます。
第85回のあらすじ:庄田のプロポーズとサワの決断
2026年1月30日放送の第85回は、第17週「ナント、イウカ。」の最終日として放送されました。
この回で、正規教員を目指して勉強に励むサワの前に、松江中学校の英語教師になることを決めた庄田多吉が現れます。
白鳥倶楽部で勉強を続けていたサワのもとに、息を切らして駆け込んできた庄田。
スーツ姿の彼は、一番にサワに報告したいことがあると伝えます。
「松江中学校の英語教師をやらせてくださいとお願いをして、ご了解を頂いてきた」
という庄田の言葉に、サワは
「教えちょる庄田さん、カッコええですけん。ええと思います。おめでとうございます」と祝福しました。
そして庄田は意を決してこう切り出します。
「もう一つ…。このために今日、教師になってきたというか…。わしと、夫婦になろう。惚れてるんだ、おサワさんに。だから、教師になることにした。来月から月25円。それでおサワさんちの借金返して、長屋を出よう」
しかし、この真摯なプロポーズに対して、サワは首を縦に振りませんでした。
その後、トキ(髙石あかり)が花束を持ってサワを訪ねると、サワはトキの胸で号泣します。
「おトキのせいだわ。私は、おトキにはなれん。おトキと同じ道は歩けん。シンデレラにはなれんけん」——この言葉に、サワの複雑な心情が凝縮されていました。
サワが庄田のプロポーズを断った5つの理由
おサワがなぜ庄田の求婚を受けなかったのか?
ここでは詳しく考察していきます。
理由①:「自分の力で這い上がりたい」という強い意志
サワが庄田のプロポーズを断った最大の理由は、自分自身の力で貧困から抜け出したいという強い意志でした。
制作統括の橋爪國臣チーフ・プロデューサーは、「サワは’誰の力も借りず、誰にも頼らず’という自分の言葉で自分を縛ってしまいました」と説明しています。
サワは第78回で母・キヌ(河井青葉)が病床に伏せている姿が初めて描かれ、母ひとり子ひとりで苦しい生活を送っていることが明らかになりました。
それでもサワは「自分の力でここを出るけん、男の力なんて…」と、教員試験に合格して正式な教員になり、借金を返して天国町から出ることを目標としていたのです。
庄田のプロポーズは「それでおサワさんちの借金返して、長屋を出よう」という内容でした。
これは一見とても優しい申し出ですが、サワにとっては「男の力で借金を返す」ことを意味します。
自分で稼いで返済するという目標を掲げてきたサワにとって、このプロポーズは自分の存在意義を否定されるようなものだったのかもしれません。
理由②:トキへの複雑な感情——「シンデレラになれない」という呪縛
サワがトキに語った「おトキのせいだわ。私は、おトキにはなれん。シンデレラにはなれんけん」という言葉は、この物語の核心に迫るものです。
第82回で、庄田はトキのことを「松江のシンデレラ」と表現しました。貧しい生活を送っていたトキは、外国人教師ヘブン(トミー・バストウ)と結婚したことで、一気に裕福な生活を手に入れました。
一方、サワは同じように貧しい環境にいながらも、自分の力で道を切り開こうとしてきました。
橋爪CPは「トキはシンデレラ。いい人と出会い、いい暮らしができるようになった。自分で何かを成し遂げたかというとそうでもない。一方、サワは自分の力で人生を切り開こうとしている。トキのそばにいるからこそ、そういう呪縛に自分でかかってしまっている」と解説しています。
サワはトキのことを嫌いなわけではありません。むしろ親友として大切に思っています。
しかし、トキの人生と自分の人生を比較せずにはいられず、「自分はトキとは違う道を歩まなければならない」という強迫観念に囚われていたのです。
理由③:「地に足をつけて生きてきた」サワの人生観
庄田多吉を演じる俳優・濱正悟さんは取材会で「ここまで地に足つけてしっかり生きてきたおサワさんの心を動かすのは大変です」と語っています。
サワは幼少期から現実と向き合い、理想ではなく実務で生きてきた女性です。
第78回では白鳥倶楽部で「教師になりたいっちゅうことは、ヘブン先生のようになりたいっちゅうことだろ?つまりあんたは、おトキさんになりたいっちゅうことだろ?」と心ない言葉をかけられた際、「違います!」と大声で否定しました。
サワにとって教師になることは、誰かの真似ではなく、自分自身の力で経済的自立を果たすための手段です。この目標を達成する前に結婚することは、自分が積み上げてきたものを否定することに繋がると感じたのでしょう。
理由④:遊女なみの言葉が生んだ自縛
第19週で描かれた遊女・なみ(さとうほなみ)の「女子(おなご)が生きていくには身を売るか、男と一緒になるしかないけんね」という言葉も、サワの心に深く刻まれていました。
さらに、トキがサワに「サワは自分の力であそこ(長屋)から出る。だから大丈夫」なみの言葉を伝えたことも、サワを縛り付ける一因となったという見方もあります。
橋爪CPは「トキの言葉もサワの呪縛になったかもしれません。サワは庄田と結婚しても幸せな未来があったと思いますが、『そうじゃない』と自分自身を縛っていたと思います」と分析しています。
理由⑤:教員試験合格前に結婚することへの葛藤
視聴者の多くが指摘していたのが、「教員試験に合格してから結婚すればいいのに」という意見でした。
実際、サワは何度も教員試験に挑戦しながら不合格が続いている状況です。
庄田のプロポーズのタイミングは、サワがまだ正規教員になれていない時期でした。
サワにとっては、「自分の力で正規教員になる」という目標を達成する前に結婚することは、自分の夢を諦めることと同義だったのかもしれません。
試験合格という「証明」を得てから結婚したかったという、サワなりのプライドがあったと考えられます。
制作者が明かすサワの断りの真意
橋爪國臣CPと脚本家ふじきみつ彦氏は、サワのキャラクター造形について興味深い発言をしています。
橋爪CPは「サワはアナザートキ。2人は対の存在です」と語り、サワを「もう一人の朝ドラヒロイン」と位置づけています。
「サワの場合は自らハツラツと前向きに、というよりは、そうせざるを得ない状況。それゆえに’誰の力も借りず、誰にも頼らず’という自分の言葉で自分を縛ってしまいました」と説明しています。
さらに、「人生にはそういうことがあると思います。自分が立てた目標のせいで、自分が縛られる。サワも自分を縛りつけているからこそ、庄田のプロポーズを断ってしまうんです。そのことを自分でもわかっている。だからこそ、ラストで『トキのせい』だと泣くんです」と語っています。
脚本家ふじきみつ彦氏の執筆スタイルも、このドラマの繊細な人間描写に影響を与えています。
ふじき氏は「流れに逆らわず、状況を受け入れるタイプ」と自身を分析しており、登場人物の「状況を受け入れる」姿勢が『ばけばけ』のテーマに重なっています。
橋爪CPは「サワが嫉妬のあまりトキに意地悪までしてしまう案もありましたが、円井さんの演技も見て、やはりそれは違うなと」採用しなかったと明かしています。
円井わんさんの演技が、サワというキャラクターの最終形を作り上げていったのです。
明治時代の女性の自立と『ばけばけ』のテーマ
『ばけばけ』が描く明治時代は、女性の社会的立場が非常に限定されていた時代です。
第78回でサワは「女子(おなご)で教師ぐらい稼げる仕事ってほぼないですけん」と語っており、当時の女性が経済的自立を果たすことがいかに困難だったかが伺えます。
サワのモデルとされる人物は、実際には2人の開拓者女性——日本初の女性教員の一人とされる「渡部トミ」と、セーラー服の生みの親として知られる「山脇房子」を合わせたキャラクターだといわれています。
房子は「黄金の釘を打て」という言葉を残しており、「若いうちに一生の土台となる教養を身につけなさい」という意味です。
サワの「自分の力で」というこだわりは、単なる頑固さではなく、明治という激動の時代に女性が自立して生きるための必死の戦いだったのです。
橋爪CPは「明治の時代に国をよくしようと懸命に勉強していた人たちの精神性を捉えている。これはとても大事な部分だと思う」と語っています。
『ばけばけ』は、偉人伝ではなく、時代に取り残された人々、必死に生きる人々のリアルな姿を描くことを目指しているのです。
サワと庄田の今後の展開は?結婚の可能性
プロポーズを断られた庄田について、濱正悟さんは「プロポーズの時、おサワさんも一瞬輝いた目をしていたのに、なんでダメだったんだろうって、庄田は帰り道でずっと考えていたと思います」と語っています。
じつは、庄田とおサワの関係についてはこれで終わりではなく、今後の展開がありそう・・という話もあるのですが、そのあたりについては以下の記事で詳しく解説しています↓↓↓

トキとサワの関係修復と花束の意味
第85回のラストで、トキがサワのもとを訪れる際、野花の花束を持っていました。
この花束は、第74回でサワがトキの屋敷を訪れた際に持参したものの、豪華な生け花を見て「みすぼらしい」と感じて庭に捨ててしまったものと酷似していました。
橋爪CPは「トキはきっとサワが捨てた花束を見たんだろうなと思っています」と語り、「トキなりの贖罪みたいなことがあったシーン」だと分析しています。
トキは経済格差がサワとの関係に亀裂を生んでいることに気づいており、同じような花束を持っていくことで、親友としての想いを伝えようとしたのです。
第15回では、トキがサワの胸で泣きじゃくる場面がありました。今回はその対となる構造で、サワがトキの胸で泣きじゃくりました。
橋爪CPは「どんなことがあっても、二人は心の底でつながっている」と語っており、二人の絆は決して切れることはないと強調しています。
現時点ではおサワの恋愛は上手くいかなかったものの、おトキとの関係は修復されたのはよかったですよね。
視聴者の反応——SNSで話題となった第85回
第85回の放送後、SNS上では様々な反応が見られました。
●共感の声:
●驚きの声:
●今後への期待:
まとめ:おサワの選択が示す生き方の尊さ
2026年1月30日放送の『ばけばけ』第85回で描かれた、サワが庄田のプロポーズを断る場面は、単なる恋愛ドラマの一場面ではありません。
それは、明治という時代に女性が自立して生きることの困難さ、そして自分の意志を貫くことの尊さを描いた、深いメッセージが込められたシーンでした。
サワが庄田のプロポーズ断った理由は:
- 自分の力で這い上がりたいという強い意志
- トキへの複雑な感情と「シンデレラになれない」という呪縛
- 地に足をつけて生きてきた人生観
- 周囲の言葉による自縛
- 教員試験合格前に結婚することへの葛藤
これらの要因が複雑に絡み合った結果、サワは庄田の真摯なプロポーズを断る選択をしました。
しかし、この選択は決して二人の終わりを意味するものではないかもしれません。
髙石あかりさんは「台本を読みながら私も円井さんも泣いてしまいました」と語り、「友達との喧嘩って、熱く描けば描くほど面白い。心に来るつらさや胸の痛みを一番感じるから」と述べています。
サワとトキの友情、そしてサワと庄田の恋の行方——『ばけばけ』はこれからも、人間の複雑な感情を丁寧に描き続けていくことでしょう。
第17週「ナント、イウカ。」というタイトルが示すように、人生には簡単に言葉にできないことがたくさんあります。
サワの選択もまた、「ナント、イウカ。」としか表現できない複雑なものでした。しかし、だからこそ、この物語は私たちの心に深く響くのです。
今後、サワが教員試験に合格し、自分の力で目標を達成した時、庄田との関係がどう変化していくのか——視聴者の期待は高まるばかりです。

